NextHill LAB / Habit Study 04
肌老化の8割が紫外線?
よく聞く数字の出どころと、肌を支える構造への影響
この記事の要点
- よく引用される「約8割」は、選んだ老化徴候のスコアの比率で、個人のシワ・たるみの原因の8割を測った数字ではありません。
- 紫外線は、コラーゲンを分解する酵素を増やし、つくる働きを抑えることが研究で示されています。弾性線維のネットワークへの影響も報告されています。
- 日焼け止めを毎日使った群では、皮膚表面の老化の進行が抑えられたという無作為化試験があります。
「シワ・たるみの原因の8割は紫外線」
美容に関心のある方なら、一度は聞いたことがある言葉でしょう。紫外線対策を続ける理由を、より深く知るために。今回は、この数字の出どころと、肌の中で起きる変化を調べました。
「8割」は何を数えた数字?
よく引用される2013年の研究は、フランスで30〜78歳の白人女性298人を評価したものです。日光を好む群と避ける群を比較し、22項目の老化徴候のうち、紫外線の影響を受けやすいとした18項目のスコア合計が、全項目の合計に占める比率を算出しました。平均は約80.3%でした。[1]
これは、個人のシワ・たるみの原因を分解して、それぞれの8割を紫外線と測った数字とは異なります。同研究では、たるみの程度に両群の有意差がなく、著者らはたるみを主に暦年齢に伴う変化と整理しています。[1]
研究の評価方法、対象者、見ている症状まで読むと、「顔の老化徴候」と「頬やフェイスラインのたるみ」を一括りにしないことの大切さが見えてきます。
紫外線は、肌を支えるコラーゲンにどう影響する?
紫外線と肌の構造の関係は、割合の話とは別に、実験でも研究されています。
1997年のヒト皮膚研究では、紫外線照射後、コラーゲンなどの基質を分解する酵素群であるMMPの増加と、コラーゲン分解が調べられました。繰り返す照射で分解酵素の増加が続くことが、光老化に関わる仕組みとして示されています。[2]
また2004年の研究では、紫外線がⅠ型プロコラーゲンの産生に関わるシグナルを抑える仕組みが検討されています。[3]
つまり、紫外線を考えるときは、肌表面の日焼けだけでなく、支える構造の「分解」と「産生」の両面に目を向けられます。
弾力を支えるネットワークにも注目
エラスチンを含む弾性線維は、周囲の微細な線維や関連するタンパク質とともにネットワークをつくっています。
2018年の研究では、白人成人の普段日光にさらされない臀部に、UVBまたは太陽光を模した紫外線を照射し、24時間後の組織を調べました。両条件で弾性線維の染色の減少が見られ、構成成分への影響は照射の種類で異なりました。[4]
これは、日常生活での影響量を直接測った研究ではありませんが、紫外線と肌のECM(細胞外マトリックス)の関係を考える手がかりです。弾力のある肌を考える視点が、コラーゲンから弾性線維(エラスチン)のネットワークへと広がります。
これからの日焼け止め習慣にも意味がある
2013年には、55歳未満の成人903人を対象に、日焼け止めを毎日使う群と任意に使う群などへ無作為に割り付けた試験が報告されています。約4.5年間で、毎日使う群は皮膚の微細な表面構造で評価した老化の進行が抑えられました。報告された相対オッズは0.76(95%信頼区間0.59〜0.98)です。[5]
よく「老化が24%少なかった」と紹介される結果ですが、顔のたるみが24%減ったという意味とは区別して読む必要があります。
日常では、UVA・UVBの両方を防ぐ日焼け止めを選び、表示された量と使い方を守る。屋外では塗り直し、帽子や日陰も組み合わせる。米国皮膚科学会は、広範囲の紫外線防御、SPF30以上、耐水性を選択の目安に挙げています。[6]
REFERENCES
- Flament F, et al. Effect of the sun on visible clinical signs of aging in Caucasian skin. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2013;6:221–232.
PubMed 全文(PMC) - Fisher GJ, et al. Pathophysiology of premature skin aging induced by ultraviolet light. N Engl J Med. 1997;337:1419–1428.
PubMed - Quan T, et al. Solar ultraviolet irradiation reduces collagen in photoaged human skin by blocking transforming growth factor-beta type II receptor/Smad signaling. Am J Pathol. 2004;165:741–751.
PubMed 全文(PMC) - Charoenchon N, et al. Differential reorganisation of cutaneous elastic fibres: a comparison of the in vivo effects of broadband ultraviolet B versus solar simulated radiation. Photochem Photobiol Sci. 2018;17:889–895.
PubMed 全文(PMC) - Hughes MCB, et al. Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013;158:781–790.
PubMed - American Academy of Dermatology. How to apply sunscreen.
公式資料